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医療機関・介護施設等での事故の損害賠償金はどう決まる?
医療機関や介護施設、整体院などを運営する上で、医療過誤、介護中、施術中の事故による損害賠償リスクは避けて通れない問題です。
本記事では、医療過誤や介護施設での事故の際の損害賠償金の決まり方を解説します。
医療機関や介護施設での事故と損害賠償金の基礎知識
医療機関で生じうる医療過誤や介護施設で生じる事故(以下、「医療過誤等」といいます。)は、医師、看護師などの医療従事者(介護施設では介護士)が、医療行為を行う上で本来尽くすべきである注意義務を怠った(過失)結果、患者に損害を与えることをいいます。
医療過誤等を原因に、施設側に損害賠償責任が認められるためには、原則として以下の3つの要件が必要となります。
- 損害の発生
患者に死亡、後遺障害、傷害などの具体的な損害が生じていることをいいます。 - 過失(注意義務違反)
医療過誤の場合には、診療当時の医療水準(臨床医学の水準)に照らして、結果を予見し回避すべき義務があったにもかかわらず、それを怠ったことをいいます。 - 因果関係
医療従事者等の過失と発生した損害との間に、法的な因果関係があること必要です。
医療過誤等による損害賠償金の決まり方
医療過誤等による損害賠償金の種類には、積極損害・消極損害、慰謝料、逸失利益などがあります。
積極損害には、医療過誤等によって実際に支出した費用(治療費、付添費用、通院交通費、介護費用等)と、消極損害には、本来得られたはずの利益が失われた費用(休業損害、逸失利益)があります。
慰謝料
慰謝料は、被害者が受けた精神的苦痛に対する賠償です。
主に以下の種類があります。
■入通院慰謝料
事故による怪我の治療のため、入院や通院を強いられた精神的苦痛に対する賠償
■後遺障害慰謝料
治療後も後遺障害が残り、将来にわたって受ける精神的苦痛に対する賠償
■死亡慰謝料
事故で亡くなった被害者本人と、遺族が受けた精神的苦痛に対する賠償
逸失利益
逸失利益とは、医療過誤等がなければ将来得られたはずの収入や利益のことです。
後遺障害が残った場合や死亡した場合に請求されます。
計算方法は複雑ですが、基本的には以下の要素で算定されます。
■基礎収入
事故前の被害者の年収など
■労働能力喪失率
後遺障害等級に応じて定められた割合
■労働能力喪失期間
原則症状固定時から67歳までの期間
■ライプニッツ係数
将来の収入を現在価値に割り引くための係数
収入のない専業主婦や学生、高齢者などでも、国の賃金統計である賃金センサスなどを基に逸失利益が認められる場合があります。
まとめ
万が一の事態に備え、損害賠償金の決定プロセスや相場を理解し、適切なリスク管理体制を構築しておくことが極めて重要です。
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